屏風ケ滝② 植物

 

やはり草本、木本とも花々には遅すぎたが、その代わり新緑がきれいに展開していた。

この渓流にはケンポナシが多い。また、イタヤカエデ、コハウチワカエデなどカエデの仲間やサワグルミも多かった。

カエデの仲間を ムクロジ科 と分類しているが、これはDNAを基準にした新分類体系で、どうもあまり馴染まない。ユリ科に入っていたオオバギボウシも キジカクシ科 と言われても困ったものである。ただ、DNAをかざされると、水戸黄門の印籠のようなもので、どうしようもない。

なお、チドリノキ というのが出てくるが、これはカエデの仲間には見えないと思うが、正真正銘カエデの仲間である。例によってキジカクシ科ではあるが・・・

 

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屏風が滝① 滝

 

久しぶりに訪れてみたが、記録を見ると三年ぶりになる。その間の台風や大雨のためだろう、大きな木がけっこう倒れており、中には登山道を塞いでかなり歩きにくいところもあった。もともとこの滝への道は鉄の橋や石段などよく整備されているコースだが、最近は災害が多く手が回らないののだろう。全国の林道や登山道も同じ状況かと思える。

ただ、滝は以前のままで何も変わらない。

解ってはいたが、スミレやツツジなどの花には遅くなってしまった。

 

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なお、タゴガエルは土や石の中の空洞で声を反響させているため、姿は見えない。

高時川源流 ②植物

 

この源流域は植生が豊かで、歩いていて数多くの植物と出逢える。

ただ、県内ではもっとも降雪量が多く、春の訪れが平地より半月かひと月近く遅れることもあり、厳しい環境には違いない。伊吹山地のように地質が独特で植生が変化に富むわけでもないのに、これだけの植物が生育しているのは、その厳しい環境の故のように思える。

この高時川源流には1980年頃から、丹生ダムという、ロックフィルダムとしては日本第一位の規模を持つダムの建設が決まって、進められていた。住民の移転も済んだ後で、数々の変遷はあったものの、2006年の知事選挙後、方向性が変わり、最終的に2016年にダム建設中止が決定されている。

予定されていたダムの貯水量は1.5億立方mで、琵琶湖の貯水量は275億立方mである。

京阪神への利水、及び流域を含めた治水とのことだったが、どんなものだろう。

県内でももっとも優れた植生の地域だが、源流に沿って旧集落を結ぶ道路が続いていて、その道路壁にも豊かな植生の植物が生育している。一面のイワタバコやオオバギボウシの岩壁が見られたし、名前は挙げないが希少な植物も数多く生育している。

ただ、最近また工事が始まっていて、いつの間にか道路が拡張され貴重な植生の道路壁は削り取られてしまっていた。すでにすべて廃村になってしまった集落をつなぐ道路だが、何のための工事かわからない。ただ、通行止めになっている。

 

貴重な植生の壁面

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一面のイワタバコが続いていた

これらの壁面は削り取られて今はもうない

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高時川源流 ①風景

景観の優れた所はたくさんあるが、ここは植生の豊かさとともに景観が作られているところで、特に春や秋の植物の移り変わりとともに変化してゆく多様性に富んだ地域である。

川というものは血管のようなもので、流域に降った水を集め、下流域に恵みを運び、いつも巡ってやまない。

穏やかな川の流れを見ているのは気持ちがいい。

 

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姉川上流 新緑

 

 

山々の木々は、芽吹き、開花から、新緑そして深緑へと移り変わってゆく。サクラやコブシの開花は当然だが、この時期には、ナラの銀色や、イヌブナの黄緑色など新葉の芽吹きや深緑の色によって遠目にも木々が識別できるものも多い。褐色がかったものや、赤味がかったもの、黄色味を帯びたものなど色々あるが、緑だけでもよくもこれだけの色があるものかと感心する。

 

 

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キンラン

 

昨年に続いて、今年もたくさんのキンランが咲いてくれた。近くにクヌギやコナラの林があって、数年前から落ち葉をかき集めたりしていた。そのことが関係したのか、あるいは以前から生育していたものの気付かなかったのかは分からないが、年々増えてきたようにも思う。

ラン科の植物は、キク科の植物と並び、進化の上ではもっとも新しく出てきた植物で、菌類と共生することで発達してきた。キンランも最近は数が減って、絶滅危惧種に入っているようだが、もしかするとキンランはランの中でも、里山、いわゆる人間の手の加わった環境に適応してきた種類なのかもしれない。いわゆる深山でキンランを見かけたことはない。

 

キンラン(ラン科)

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写真に撮った個体ではないが、同じ林の道路脇に9株のキンランが密生しているところがあった。あまりに多かったので正確に数えて覚えている。

少し心配したが、写真の通り、ゼンマイの葉が隠してくれていたり、ウマノアシガタキンポウゲ科)の花がカムフラージュになったりで、まあ、大丈夫かと思っていたが・・・

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連休後の朝、見てみると9株すべてなくなっていた。

一見すると分からない感じになっていたが、よく見てみると

ことごとく掘り起こした跡があった・・・

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犯罪でもないだろうし、処罰もされない事象だが、一応絶滅危惧種である

智恵を絞って札を立てておいた・・・

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フジ

 

多くの木々が開花や芽吹き、紅葉などとともにそのありかを教えてくれることが多いが、フジも、今の時期には、至る所で目立つようになる。

特に植林地などでは管理が行き届かなくなってきていて、スギに巻きついて花ばかりが目立つようになっているものも多いかと思う。

 

 

フジ(マメ科) 

正確にはノダフジマメ科

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一般のフジと言っていいのか、これらのフジは正確にはノダフジマメ科)といい、もう一種、関東、中部から西日本に分布しているヤマフジマメ科)があり、これは湖国にはない

 

これが ヤマフジマメ科

花の房はずんぐりとしている

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 これは国道脇の景観

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まるで滝のように咲いている

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アカメガシワトウダイグサ科) と フジ 

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ノダフジという名が気にかかって調べてみたが・・・

命名牧野富太郎だが、やはりノダ(野田)は大阪の福島区の地名から来ていた

野田などという地名はどこにでもありそうだが、関西の者なら大阪の環状線の駅名を思い出すかと思う

昔から 『吉野の桜 野田の藤 高尾の紅葉』と並び称されたというから、かなりの規模だったのだろう

 

 

訂正

四月の 『卯月』 の動画で下記の画像をヤマグワ(クワ科)としたのを

ヒメコウゾ(クワ科)に訂正します

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ニホンアナグマ

 

 

ニホンアナグマ(イタチ科)

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散策の途中で出逢ったが、おそらくこちらには気付いていないだろう。以前にもアナグマを見かけたことはあるが、目が悪いのかほとんど警戒心がないような感じがする。

たぶんタヌキとよく似た行動習性をしているように思うが、直に見てみると、このような動物もいてもよいのだなぁ・・・という気がしてくる。

もちろん気付かないところで優れた本能や、能力を持ってはいるのだろうけれど、やはり自然というものは寛容な面があるように思えてくる。

ダーウィンが弱肉強食、適者生存といい、生物進化を唱えたが、シマウマやガゼールは、いつもライオンやチーターに追われて毎日戦々恐々とした日々を送っているのでもあるまい。もしそうなら、すべてノイローゼになってしまうだろう。

今西錦司は能力の高いものも、増えよ、そうでないものも増えよ、この三千大世界はあらゆる生物で満たされておる・・と

アナグマから進化論まで飛躍してしまったが、直に自分の目で見るとやはり自然というものは厳しい面がある反面、ゆったりしているように、またそのことを忘れてはいけないようにも思える。

人によって持ち込まれたアライグマやハクビシンの被害が増えているようだが、昔ながらのアナグマのような動物が本来の領域のまま、絶滅もせず生きているのには元気付けられるし、

特に今のような現状の日々の中で、少し息抜きをさせてもらった。

 

日本三鳴鳥

 

さえずりの綺麗な日本三鳴鳥は、ウグイス、オオルリ、そしてコマドリだが、コマドリは高山帯、亜高山帯に行かねば聞くことはできない。

恵まれたことに自宅のすぐ近くでウグイスとオオルリのさえずりを聴くことができるが、あと一種、コマドリに匹敵する綺麗なさえずりの野鳥が来ていた。

クロツグミである。夏鳥としては一級の綺麗な鳴き声とあり、またそんなに簡単に出逢える野鳥でもあるまい。

カメラのマイクそのままで録っているので、音は良くないかもしれないが雰囲気はわかると思う。

なお樹々の画像は野鳥とは関係がなく、背景として入れてある。

 

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監修 宮田 正春 

 

 

巨木の森

野坂山地にある大谷山。

赤坂山とともに展望の良い山行が楽しめる山だが、山麓に大木の密生した場所がある。尾根近くまで登るとブナ林が広がるところがあるが、ここはそこに至るまでの夏緑樹の広かる林にあたる。幾分平坦になったところだが、なぜかそこだけ巨木が何本も生えていて周囲の登山道と雰囲気が全く異なる。

久々に訪れてみたが、多くはイヌシデの大木だった。

 

コハウチワカエデ(カエデ科)

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中央がコハウチワカエデ(カエデ科)、

右と左斜め方向がイヌシデ(カバノキ科)

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中央がコハウチワカエデ(カエデ科)、

右と左斜め方向がイヌシデ(カバノキ科)

左はコシアブラウコギ科

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コハウチワカエデ(カエデ科)

見たことがあるもっとも大きなコハウチワカエデだろう

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逆方向から

右端より

コシアブラウコギ科

コハウチワカエデ(カエデ科)

V字型に イヌシデ(カバノキ科)

     イヌシデ(カバノキ科)

左奥 イヌシデ(カバノキ科)

コハウチワカエデとイヌシデの間の奥にイヌシデの倒木の根本が見える

 

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イヌシデ(カバノキ科)

アカシデの大木というのはあまり見たことがないが、イヌシデは時折見かける

ここには倒れたものも含めると四本のイヌシデの大木があったことになる

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イヌシデの倒木

おそらく数年来の台風で倒れたものかと思うが

背丈くらいの高さで折れていたので、もともと弱っていたものかもしれない

かなりの大きな空間が開いてしまっていた

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コシアブラウコギ科

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ホオ(モクレン科)f:id:Jiroviolet:20210428155654j:plain





 

 

 

卯月 風景


やはり四月は伸びやかな、勢いのある景観が見られる。

秋の紅葉以上に色彩に恵まれた季節に思える。

 

コブシ(モクレン科)とホトケノザ(シソ科)

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ホトケノザ(シソ科)

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ノウルシ(トウダイグサ科) 

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エドヒガンザクラ(バラ科) ヤマザクラバラ科

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アベマキ(ブナ科)

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オオバン(クイナ科)

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カスミザクラ(バラ科

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 ヤナギsp(ヤナギ科)

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ハマダイコンアブラナ科) エノキ(ニレ科)

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卯月

 

 

四月は一年のうちで最も変化が速く、また変化が大きな月にあたる。野草や木々の花だけでも取り上げられないほど咲き、一種の植物に一枚の画像を選んでもあげきれない。野に一面の緑が広がり、山々は褐色の世界から、種々の色彩に置き換わっていく。

四月は卯月だが、現在の四月は旧暦では弥生にあたる。それもそのはずで 

弥生は語源を辿ると、「弥生(いやおい)」が変化して「やよい」になっている。

結婚式などで言われる「弥栄(いやさか、やさか)」と同じで、

弥生の「弥」はいよいよ・ますます、「生」は草木が芽吹くことを意味していて、なるほどなぁと納得する。

咲く花や芽吹きを撮りきれないし、また撮った画像とて上げきれないが、四月(弥生)も下旬になり、代表的なものだけでもあげてみる。

 

 

 

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6分強の長さに及ぶ・・・


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ミツバツツジの丘

ミツバツツジが密生しているところがあって、ちょうどオオイワカガミの開花と重なり、花だらけの丘になっている。もともとミツバツツジは多く自生していたと思うが、公園化されて植栽、保護されてきたものだと思う。

 

コバノミツバツツジツツジ科)

赤紫といえばいいのか、新緑の時期にあって、驚くばかりの鮮やかな色彩を放っている。

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コバノミツバツツジ の名は、他のミツバツツジ の比べて成長後も葉の大きさがずいぶんと小さいままであることから

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スミレ(スミレ科)

道路脇に咲いていたもの

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マンサク(マンサク科)

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アマヅル(ブドウ科

オトコブドウともいい、果実は甘くて美味しい

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ハネミイヌエンジュ(マメ科

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ウリカエデ(カエデ科)

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コバノトネリコ(モクセイ科)

真っ白なふさふさした花をいっぱいにつける

木に粘りがあり、野球のバットの材料

別名アオダモ

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ヤマツツジツツジ科)

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少し木々をくぐると琵琶湖が見えるところがある

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ヤマザクラとカスミザクラ

早い早い!

今年はあらゆる植物の開花、芽吹きが早まっている。

特に桜の開花は早く感じ、エドヒガンザクラに続いてヤマザクラ の開花も早まり、例年なら四月下旬に開花するカスミザクラも満開を過ぎつつある。

吉野の桜の満開は例年より10日早まっているとのこと。

決して暖冬だったような感覚はないものの、全国平均だったか、三月の平均気温が過去最高とのニュースがあった。

もともと春は自然の日々の変化が早いものの、これだけ早いとゆったりと過ごせない。

 

 

カスミザクラ(バラ科

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もっとも遅く咲き出す桜で、エドヒガンザクラやヤマザクラがほぼ終わった後で山麓や山々に目立ち、ポツンポツンと点在することが多い。

花弁はほぼ純白と言っていいが、次の画像のように花柄に少し短毛がある。

 

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ヤマザクラバラ科

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エドヒガンザクラ とともに山野を代表する桜で、古来から親しまれてきた。

エドヒガンザクラやソメイヨシノと異なり、開花時に同時に葉が展開してくる。

古来から歌われる桜や、奈良の吉野の桜もこの桜。

 

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