県最北部の集落、中河内(なかのかわち)。年によっては積雪が4〜5mになることもある豪雪地である。高時川はこの集落の北側にある栃木峠(とちのき峠)に源を発し、この集落から東に折れて今は廃村となったいくつもの集落のある深い山間を流れ下ってゆく。
中河内の集落のはずれにうっそうとした巨木の生える森があって、毎年4月の中頃に林床にザゼンソウの群生がみられ、キクザキイチゲやハルトラノオなどの早春の植物とともにユキツバキやスミレサイシンなどの日本海要素の植物とも出逢うことができる。
早春のまだ木々の葉が展開していない頃か、新緑の頃に、多くの友人と訪れていたのであまり気付かなかったが、今回秋に一人で行ってみると独特の雰囲気を感じた。トチノキやカツラの巨木が生える森だが、木の根本に小さな祠があり、もともと鎮守の森だろう。神社は本来森が御神体で、社殿はのちの時代になってからできたものということがよくわかる。
この写真で少し感じが分かるだろうか
右端に平均的な杉が生えているのでカツラやトチノキの大きさも分かるかもしれない
この森には集落を流れてきた川を橋を越えて歩いて渡ってゆくが、この川沿いに花畑かと思えるほどの野草が咲き誇っていた。
ミゾソバ(タデ科) ユウガギク(キク科) イヌタデ(タデ科)
ユウガギク(キク科)
柚香菊のことだが柚の香りはしない
ツリフネソウ(ツリフネソウ科)
ゴマナ(キク科)
葉がゴマの葉に似ていることから
サワアザミ(キク科)
近畿から北海道まで、日本海側に分布
頭状花序は普通のアザミよりかなり大きい
高時川はこの集落から東に折れて、狭い耕作地を抜けて流れてゆくが、集落のはずれにお地蔵様がおられて、きれいに草刈りや掃除がしてあった。