若狭上中町にて
山の斜面にペンキを流したように見えるこの光景は知らない人は何なのか不思議に思う。これはアブラギリの黄葉である。若狭では江戸時代に殖産のため、アブラギリを植え、油をとった。そのアブラギリが海岸沿いや内陸に生えていて春には白い花を一面に咲かせる。
以前から若狭の所々でよく見かけたが、最近、山の斜面などにビッシリと密集して栽培したように生えているのをよく見かける。国道沿いの斜面にずっと生えていることもある。陽樹で成長が早いためか他の植物を駆逐していくようにも見えるが、かといってどこの山もそのようになっているわけではない。よくわからない樹木である。
それと、この斜面の黄葉のように、林の木々が、全体として緑から黄にきれいにグラデーションしていくのはなぜだろうかと思う。もちろん、水分、栄養、日射量、土壌などの変化によっているのはわかるが、あまりにも個々の木々が全体としての調和をとっているように見えてしまう。つまり、この斜面のアブラギリは全体として連携しているような。
今西錦司が個体群もしくは種社会の変化…という自然の捉え方をしておられたが、そんなことを思い出した。
アブラギリ(トウダイグサ科)
いかにもトウダイグサ科の実
この実から油をとる
ただし毒性があるので食用にはならない