茜さす紫野ゆき標野ゆき…
以前雪野山でとりあげた額田王の歌だが、茜や紫や、夕景の色を表すとともに、染料の茜や紫もかけあわせているのだろうと思う。
湖東平野というのはたしかに夕日の素晴らしいところに違いない。開けた平野部のところどころに低山があり、さらに西には琵琶湖があって空間が開けていて、その向こうに比叡、比良の山々が遠くに見える。私が育った大津や、現在住んでいる湖西地方は、朝日が見事なことはあっても、夕日が素晴らしいことは稀にしかない。すぐ西側に山々が迫っているからだ。瀬戸内や西側に海が開けた地域など、あるいは平野部の東の山際などでは、湖東平野のような夕日が見られるところがあるかもしれないが、おそらく日々このような夕日を見て育つとずいぶんと影響を受けるのではないかと思える。知らず知らず、遊びの帰りや、学校の帰りに夕景を見て育つことは恵まれたことのように思える。
西 比良山地
南西
南