吉野山や大台ヶ原を訪れたことはあるが、黒滝村、天川村などは名前を聞くだけで行ったことはなかった。観音峯やみたらい渓谷といった地名を聞いていたが、今回すぐ近くの白川八丁を訪ねる機会があった。奈良県は北と南でまったく地形が異なる。吉野川を渡って標高を上げ、長いトンネルを越えると一気に山深い渓流沿いの地形になった。まず渓流の淵の水の色に驚く。この色にひかれてか数多くの人が川遊びに訪れていた。
道路から派生している傾斜の穏やかな林道を遡っていくが、さすがに初めて出会う植物にたくさん出逢う。2、3キロか登った後で道が分かれ、左の川に降りる方の道ををしばらく下ると白川八丁と呼ばれる所に出た。周囲には巨岩が、川沿いには土石流によって流れてきた白っぽい石が一面に広がり、川の水は伏流になっているようで、たしかに白い石の川が上流にずっと続いている。白川八丁の一部しかいく時間はなかったが、上流に向かってさらに延々と登り詰めていくと大峰山の弥山に通じているようだ。サワグルミ、トチ、ケヤキ、イタヤカエデ、チドリノキ、ミズナラ、イヌシデ、アワブキ、アサガラ、エゴノキ、ブナなど多種の木々があったが、ほとんどは上記の白い石の川に数メートルは埋まってしまっていて、木々の葉をすぐ目の前で見ることができる。周囲の川岸には部屋から家の大きさもありそうな巨岩が並んでいた。
エメラルドグリーンといえばいいのか.…。
青味がかっているところもある
白川八丁 石はけっこう大きく歩きにくい
川の周囲の巨岩
オオクマヤナギ(クロウメモドキ科)
ズイナ(ズイナ科)府立植物園で見たことはあったが、野外では初めて見た
メグスリノキ(カエデ科)
ツガ(マツ科)
ヒナウチワカエデ(カエデ科)
チドリノキ(カエデ科)
イヌブナ(ブナ科)
タニタデ(アカネ科)
タニソバはタデ科
ミヤマタニタデ(アカネ科)
ミヤマタニソバはタデ科
ややこしいが「ソバがタデ科でタデはアカネ科」タデがタデ科でない.…と憶える。
これがミヤマタニソバ(タデ科)
クモキリソウ(ラン科)
コバンノキ(コミカンソウ科)
シシラン(イノモトソウ科)正確にはナカミシシラン
ボタンヅル(キンポウゲ科)
ハナビゼリ(セリ科)
イヌトウキ(セリ科)
余談だが八丁とはどれくらいの距離か調べてみた。一丁は60間でほぼ109m。ということは、800m強。登っていないが、1kmくらいあるのかもしれない。その上は水流が現れるのかと思う。これは以前に聞いたことがあるが、八丁味噌も岡崎城から八丁の距離のところに味噌屋が集まっていたらしい。ハッチョウトンボの由来はわからない。
それと吉野川を渡る際に、これは紀ノ川か吉野川かと考えていたが、これも調べてみたら、奈良県では吉野川、和歌山県に入ると紀ノ川に名前を変えるようだ。瀬田川も京都で宇治川、大阪で淀川になるようなものかもしれない。なお、今回遡った川は弥山(みせん)川という。