安曇川

 

安曇川(あどがわ)とよむ

多くの人は あずみ川 と読むのではないだろうか

古代の海洋族の安曇族が九州から全国に移動し

信州の安曇野なり ここ湖西の安曇川なりに住み着いた

昔 司馬遼太郎さんが安曇川の地名を聞いて

「ほぅ ここにもありましたか」

と言われたそうである

この前何かを見ていて

渥美半島の渥美(あつみ)も

熱海の(あたみ)も

安曇族のあずみからきているとのことで

なるほどなぁと感心する

 

琵琶湖にそそぐ河川の中でも

最も水量の多い川である

 

湖西は湖東と異なり

断層によって

比良山地 比叡山 野坂山地などの山々が

急激に琵琶湖から競り上がっている

そのため比叡比良山地の西側に降った雨は

簡単には琵琶湖へとそそげず

有名な 花折断層 に沿って北に流れ 安曇川となり

ようやく湖西の朽木から朽木渓谷を削り取って

琵琶湖へそそいでいる

源流部には県境を超えて京都北山の百井(ももい)などの地も含まれる

 

 


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川沿いに生える二本の大きな ウラジロガシ(ブナ科)

 

朽木渓谷にある亀岩

 

花折断層の破砕帯の路頭

中央から左にかけての黒っぽい部分

花折断層は朽木の北から大原さらには京都市の一部にまで伸びる大きな断層

右が安曇川本流で 左から支流が流れ込んでいる


なお 梅雨に入る直前の比較的水量の少ない時期に撮影している

夏に向けて この後一気に水かさを増してゆくはずである

朽木渓谷の画像の一部は過去のものも用いている

 

朽木 くつき と読む 比良山地より西の広大な村の名前でもあり

   市場の集落を本拠地とした朽木氏の名前でもある

   最近は若狭の小浜から京都への鯖街道の地として有名になっている

 

花折峠   源流部に近いところに花折峠という峠がある

      峠を越えて安曇川に沿って北へ行くと

      比叡山無動寺の奥の院である明王院に行くが

      寺に供えるシキミの花をここで摘んで行ったことから

      ついた名だが

      近江の伝説にこのような話がある

 

花折峠 昔この峠付近に住んでいた気立ての良い娘がある女の妬みを買って

    大雨の日に村を流れる川に突き落とされるが

    不思議なことに娘はかすり傷一つ負わずにすむ

    あとには一面に折れた花が咲いていたという

    花々が娘の命を救った話である

 

この話を 三橋節子さんという画家が絵にされている

亡くなる半年ほど前に描かれたもので

二人の子供さんを残して亡くなられた

野草をよく描かれた方で

花折峠の絵の中には二十二種の野草が描かれているという

検索して一度絵を観てみられるとよい

本物は大津市長等の三橋節子美術館にある