府立植物園には日本の森 植物生態園というところがあり、自然に近い形で1000種近くの植物が植栽してある。春や秋によく行くが、この時期はあまり咲いているものはあるまいと思っていたが、そんなことはなかった。この夏の時期に高山以外で花々に出逢うとかえって新鮮な感じがする。生態園は周囲を樹木で囲まれており、比較的涼しく散策できる。
レンゲショウマ(キンポウゲ科)
キンポウゲ科の植物には個性のある花々が多いが、この花はその中でも独特の雰囲気を持っていて、下向きに咲く薄紫がかった花も、少し薄暗い木々の下で咲く雰囲気に合っている。随分と前に三つ峠で初めてこの気品のある花を見たときは驚いた。ただ、薄暗い林下であちこちにばらけて咲くこの花の写真は撮りにくい。
カリガネソウ(シソ科)
対生の葉の付け根から花茎が出て三分し二つずつ花を付けるが、計5つの花をつけることが多い。ホカケソウ(帆掛草)ともいい、いい雰囲気の花だが、匂いはたいてい嫌われる。確かクマツヅラ科だったと思うが新分類体系でシソ科と言われてもピンとこない。
ヒオウギ(アヤメ科)
ヒメヒオウギスイセンと紛らわしいが、こちらのヒオウギが本来の種でヒメヒオウギスイセンは交雑によって作り出されたもののようである。祇園祭の飾り花として欠かせない花。緋扇子。
この葉の形から扇(オウギ)の名がついたのだろう
むしろこちらの方が原種に見える
こちらの葉は扇型にならない
フシグロセンノウ(ナデシコ科)
もちろん科も種も異なるが、夏の樹下で緋色の花を咲かせるという点ではヒオウギと似ている。
突然変異種のようで紅筋ヤマユリとあった。本来のヤマユリはと調べてみたら黄色の筋が入っている。
キキョウ(キキョウ科)
秋の七草であるが、考えてみればこの時期に咲くのは少し早すぎるようにも思える
秋の野に咲きたる花を指折り(およびおり)かき数ふれば七種(ななくさ)の花
萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花また藤袴 朝貌(あさがお)の花
このうち 朝貌(あさがお)がキキョウだろうと言われているが
キキョウとナデシコは7月下旬くらいから咲き出す
秋の野に というのがどこなのかわからないが、あまりに印象的な二種の花は外せなかったのかもしれない
ウバユリ(ユリ科)
開花時に根生葉がなくなる(葉がない=歯がない)ことからウバ(姥)ユリの名がついた
フウラン(ラン科)
単純かつ風情のある名前をもらったランである。野生の個体に出会ったことはないが、バニラのようないい香りがする。
スズカケソウ(ゴマノハグサ科)
園芸植物として江戸時代から知られていたが、自生地がわからなかった謎の植物。牧野富太郎も探したようで、岐阜県と徳島県に自生とみられるものがあるが由来がわからないようである。中国にあることから古い時代の移入かとも言われる。