伊吹山 ①

 

伊吹山全山壊滅!

 

今回のブログはいつものものと違って報告のようなものになる

 

七月の中旬に大雨で伊吹山登山道が崩れ通行禁止になったと聞いた

五合目あたりとのことだったが

ある程度急なところはあっても崩れるような急峻な登山道ではない

 

ニュースの写真を見るといく筋もの土砂崩れが起こっている

 

S字状の登山道に土砂崩れの筋がかかっている

もとよりこのような筋はあったと思うが植生がなくなってむき出しになり

崩壊がひどくなっている

大きく崩れたのはこれより下の五合目あたり避難小屋がある付近かと思う

 

最近は五十年に一度、百年に一度の気象事象が頻繁に起こるので

そのためかとも思ったがそうではない

 

植生がなくなっている・・・

 

もとより体調面から下からの登山はできず

かつ登山道は通行禁止になっており

伊吹山ドライブウェイ九合目駐車場からも登れるかどうかくらいだったが

ゆっくりゆっくり歩けばなんとかなるだろうと

久々に訪れてみた

 

貴重な、それこそ本当に貴重な植物がほとんどなくなり

石灰岩が剥き出しになっているか

選択的な植生だけが広がっていた・・・

 

選択的な・・というのは 

ニホンジカの食性の である

 

十数年前からついに頂上のお花畑にも被害が出始めたので

ネットを張ったり駆除したりはしてこられたと思うが

ここ数年は頂上全周に柵を巡らせたとのことを聞いていたので

年数をかければ徐々に復活するだろうと思っていた

 

なんのことはない

頂上のお花畑も壊滅していた・・

西遊歩道の登り切ったところに一ヶ所だけ以前の植生が残っているところがある

田で言えば一反ほどの面積にしか過ぎないが

二重の柵で囲まれているためなんとかそこだけは残っている

 

今や唯一昔の植生を保っているその花畑の前で

友人がボランティアのガイドをしていたので聞いてみたが

 

頂上の花畑を守るべくネットを巡らせてはいるが

2.3mの高さのネットを鹿は飛び越えてくるとのこと

伊吹山全山には推定で千数百頭の鹿がおり

花畑に入り込んだ鹿を駆除しても

また入り込んでくる

ひどいものはネットを噛みちぎって入るという

昼は頂上にある樹林帯に身を隠し

夜に活動する  とのこと

 

鹿も 猿も 熊も・・・

あらゆる動物が

本来の状態ではなくなってきている

 

 

 

以前の画像を探してきたので比較してみる

 

北尾根登山道

         ⬇︎

 

 

西遊歩道

         ⬇︎

西遊歩道は駐車場に近いので まだ比較的ましだが柵の上と下でまったく植生が異なるのがわかる

 

 

雪崩防止柵付近

         ⬇︎

 

 

表登山道

         ⬇︎

これだけ植生がなくなれば土砂崩れも起こるのがわかる

 

登山道頂上部付近

         ⬇︎



 

 

ニホンジカは至る所に見られ

よほど近づかぬ限り逃げずに草を食んでいる

これは八合目付近

頂上部では昼間は樹林帯に隠れて姿は見せない

 

柵の外と内で全く異なるのがわかる

木々の葉は鹿が背伸びをして食べられる高さまでなくなっている

 

きれいな花畑があるではないか!

これはキク科のキオンの群落で

鹿はキク科の植物を食べないため選択的に広がっている

同じくキク科のマルバダケブキの群落

 

頂上付近

ただの草原になってしまっている

ここは一面の花畑だった

 

秋口に咲き出すキンポウゲ科サラシナショウマ

毒性があるのかこれは残っている

選択的に残っているのは

これとイブキトリカブトキンポウゲ科

一部フジテンニンソウ(シソ科)など

それに鹿の嫌いなキク科の植物が加わる

 

途中で鉄製の雪崩防止柵の画像があったと思うが

あの規模の冬の積雪にも耐えられる柵を頂上の外周に巡らせれば

とりあえず貴重なお花畑の植生は守れるのだが

中途半端な対策しかされてこなかった・・・と

友人は嘆いていた

行政ばかりのせいにするつもりはないが

新幹線駅や飛行場など優遇はされずとも

環境を保ってきた滋賀がなぜなのかと思ってしまう

伊吹山は滋賀岐阜両県にまたがっているが頂上部は滋賀県に属する)

 

取り返しがつかない・・・という言葉があるが

伊吹山だけではないが

何万年、もっと言えば何億年かけて培われてきたものを失ってしまう

環境問題にせよ、災害にせよ、経済にせよ、人心にせよ・・・

すべて推し並べて不安定に、取り返しのつかぬ事態になってきている

 

大本は 鹿ではなく 人間にある