霧ヶ峰 というと ほとんどの人が知っている地名だろう
たしかに霧が多いらしく 夏も涼しい
ニッコウキスゲの似合う草原のイメージがあり
ずいぶん得をした地名のひとつかと思う
この広大な草原は 風衝草原 と聞いたことがあったが
調べてみると人の手による二次草原だった
阿蘇と同じく 燃料 飼料 目的の結果らしい
しかもそれが縄文時代にまで遡るという
牛馬とともに生活してきた頃を知らぬものにとっては
驚くばかりだが
日々の生活の中でここまで登り 刈り 降ろし
放牧や 火入れなどもしてきたのだろう
コバイケイソウ(シュロソウ科)
コバイケイソウ(シュロソウ科)
湿原でよく見かける印象的な植物だろう
カラマツ(マツ科)
日本の針葉樹の中では数少ない落葉樹
カラマツ林
ズミ(バラ科)
湿原の周囲にはズミが多い
花の頃はきれいだろう
ミズナラ(ブナ科)
この木がいわゆる オーク にあたる
高級家具が作れる
明治の初めにはイギリスなどが刈り倒してたくさん持ち帰って行ったようだ
ノハナショウブ(アヤメ科)
花菖蒲の原種 野生種
アヤメ(アヤメ科)
オオカサモチ(セリ科)
ツルカコソウ(シソ科)
カラマツソウ(キンポウゲ科)
オオヤマフスマ(ナデシコ科)
ゆっくり歩いて一周したが 東の端 車山側に小さな小川があり湿原の水はここから流れ出ている
そこに神社があったので寄ってみると 御射山神社 とある
霧ヶ峰 あるいは 蓼科高原 には 御射山 とか 御射鹿池 とかいう地名があり
何かと思っていたが 諏訪大社の御狩神事がおこなわれた所とある
諏訪大社は軍神なので 関東一円の武士が集まって騎射などを競ったとあり
現在でも桟敷段跡も残っており 平安時代から鎌倉、江戸時代まで
多い時は十万人が集まったというから驚く
地図に 北條殿 千葉殿 佐々木殿 梶原殿
あるいは 信濃の 海野 望月 根津などとある
この山一帯には 黒曜石が産し
縄文時代から多くの集落があったとは聞くが
このような自然と 鎌倉武士が結びつくとは思わなかった
本御射山神社
なお 八島ヶ原湿原 と表記したが 八島湿原 との表記もあり
よくわからない
かなり広い湿地に見えるので 尾瀬に次ぐくらいの広さかと思い調べてみたら
全国一位の釧路湿原が 22656ha
14位の尾瀬ヶ原が 848ha
本州一位の渡良瀬遊水地が 1967ha
八島湿原は 43ha なので比較にならぬほど狭い
広い湿地のほとんどが北海道にあるというのはわかるが
本州にもけっこう広い湿地があるものだと思う
ただ、渡良瀬遊水地などというのは全く知らなかったし
印旛沼とか戦場ヶ原とか多くは東日本に多い
南八ヶ岳夕景
左 横岳 中央 赤岳