早崎内湖のハス

 

 

 

f:id:Jiroviolet:20200808173532j:plain

 

 

かつて琵琶湖岸には数多くの内湖、入江があった。高度成長期に干拓が進み、その後湖周道路が通り、ずいぶんと景観が変わってしまった。たとえば、ずっと以前のことで言えば、有名な安土城彦根城は、周囲を内湖や湿地に囲まれていたが、今はその面影がない。

早崎内湖は昭和45年に干拓されたが、内湖として再生すべく、平成13年に再び潅水し、現在はビオトープとして実験的に経過観察が行われている。

毎年、盛夏にはハスの生育地としてみごとな姿を見せてくれるが、決して植栽して栽培管理されているものでもなんでもない。むしろ、ハスの繁茂に困って、繁茂抑制の手段をいろいろと工夫しているくらいだ。自然に戻るのは良いが、ハス一辺倒の偏った状態になってもらっては困るのだろう。これだけ大規模なビオトープ実験というのもあまりないと思うが、いったん壊した内湖という自然一つをとってみても、いかに自然がバランスをとって成り立っているかがわかる。元の早崎内湖の姿は現在の5倍とあったのでどのようなものなのか、過去の写真を探してみたが、なんとかそれらしきものはあった。

f:id:Jiroviolet:20200808173935p:plain

 

現在の航空写真

f:id:Jiroviolet:20200808175840p:plain



早崎内湖の右(東方向)にある四つの集落の位置が一致するので確かに昔の内湖の写真だろう。これを見ると、北側に入江が大きく開いていたことがわかり、うっすらと曲がりくねった道路が内湖の形を残している。確かに現在の5倍、あるいはそれ以上はある。さらに南の、現在、奥琵琶スポーツの森と呼ばれるところも内湖だったことがわかる。

 

さらに、将来の早崎内湖の再生計画を見てみると次のようなものだった。

この地図は向きが90度左に回転している。左が北。

 

f:id:Jiroviolet:20200808181009j:plain

 

この琵琶湖全体から見れば比較的小規模の内湖ひとつとってみても、いかに再生が困難かがよくわかる。

ただ、現在のビオトープの全面にわたって広がる姿はみごとなものではある。

 

f:id:Jiroviolet:20200808181649j:plain

 

 


早崎内湖のハス