春先の山麓のタムシバや5月中旬のシイの木など、花が咲いて急に気付く木々も多いが、ジャケツイバラもそういったものの一つかと思う。日当たりの良い藪のようなところに生えるため、ふだんはあまり気に留めないから余計に目立つし、幾分蛍光がかった黄色の花が一気にあたり一面を埋めるので驚かされるようなところがある。いつだったか林道沿いで落葉したジャケツイバラに出逢い、はじめは何なのか分からなかったが、トゲがあるのでやっと気づいたことがある。たいていは藪を覆うようにして広がっているが、中には他の木に絡んでずいぶんと上の方で花を咲かせているものもある。
この時期に所々で目にするが、それほどどこにでも咲いているわけでもない。たとえばクズがツルを伸ばしてあたり一面を覆うように拡がっていることをみれば、もっと数多く見られてもいいかと思うが、そうでもない。まったくの平地ではなく、ひらけた谷沿いや、道路の斜面に生えるように思う。