もう三十年近くになるか、家族でブナ林がきれいだということで、野沢温泉からカヤノ平まで行き、山小屋風の施設に泊まった。広い広間に自分たち家族だけで泊まり、夕食は鍋をもらったのを覚えている。翌日に、よければブナ林を歩いて奥へ行ったところに、「ドブ池」というきれいな湿原がありますよと聞いて、行ってみると、ドブという名前にはそぐわない、廻りを林に囲まれた花だらけの素晴らしい湿原があった。ほかに人は誰もいず、八月の下旬だったが、アザミやトリカブトなどの多くの花、それにミズギクが一面に咲いていた。
カヤノ平は標高千五百mくらいのところを切り開いた気持ちの良い山間の放牧地だが、その後、キャンプ場やビジターセンターもでき、最近では自然探勝ツアーのコースにカヤノ平北ドブ池とあったりするようになった。
今は花の時期も過ぎてしまったが、紅葉のブナ林を歩くのもいいかと思って訪れたものの、ほとんど紅葉は進んでおらず、聞いてみると、例年はこの時期なのですが…とのこと。やはりここも今年の異常な残暑のためかと思える。
ただ、やはりここのブナ林を歩くのは気持ちがいい。幾分草紅葉の進んだ湿原は、花は全て終わっているものの、ゆっくりと穏やかな時間が過ごせた。
北ドブ池
今は北ドブ湿原と記されてあった
小さな東屋が昔からある
湿原の周囲にはブナだけでなく、シラカンバやダケカンバが林を作っているところがある
湿原入り口
木道が一本ある
この右にも湿原があるがそちらには行けない
カヤノ平
所々にミズナラやカバノキの古木が残る
ミズナラ(ブナ科)の老木
シラカンバ(カバノキ科)
シラカンバの樹皮には枝が落ちた時の黒い模様が残る
カラマツ(マツ科)
手前がダケカンバ(カバノキ科)
右奥がシラカンバ(カバノキ科)
カヤノ平周辺図
ブナ林の中の広い遊歩道
ブナ(ブナ科)
ブナの門
マユミ(ニシキギ科)
樹皮が黒っぽく見えるがシラカンバの古木
湿原周辺の樹々の紅葉
シラカンバの遊歩道
ダケカンバ(カバノキ科)
オオバクロモジ(クスノキ科)
ハウチワカエデ(カエデ科)
葉先が枯れているが
カジノキ(カエデ科)だと思う
マユミ(ニシキギ科)
ツタウルシ(ウルシ科)
この印象的なブナは何年経ってもよく覚えていた
ヤマウルシ(ウルシ科)
ブナ林の中の遊歩道が交錯する地点
イワガラミ(アジサイ科)
ブナ林の中におそらく古木が倒れたのだろう、大きな空間ができていた。
ハリギリ(ウコギ科)
樹皮から繊維が取れ、信州に多く産したことから、信濃の名のもとになった木