御嶽山には滝が多い。
西側の小坂というところから入るとたくさんの滝があり、中腹の濁河には緋の滝、材木滝などという大きなものある。
南面の山麓には、以前取り上げた田立の滝や付知峡、南東側には阿寺渓谷、柿其渓谷の滝など、大きな滝がいくらでもある。(ただち、つけち、あてら、かきぞれ と読む)
木曽から入り、王滝村を経て、御嶽山七合目の登山口に田の原があり、そこへ植物を見に行ったことがある。王滝村はずいぶんと前に大きな地震に見舞われたところで、また田の原登山口から登る剣ヶ峰は、まだ記憶に新しい御嶽山の噴火によって多くの人命が失われたところである。私が寄ったのはその噴火より何年も前だったが、帰りに車道のすぐそばに 新滝 との表示があったので寄ってみた。普通に歩けばものの五分くらいのところかと思うが、あまりに植生が豊かだったので三、四十分かかったはずである。
ようやく滝のところまで来て、神秘的な雰囲気の、布がかかったような滝を見た途端、
ふっとすごい気を感じた。
3、40mくらいのきれいな直瀑の滝だが、滝壺の裏がくぼんでいて、いわゆる裏見の滝になっている。滝小屋というのか、滝行のための小屋があって、御嶽山登山やあるいは修行のための滝であることがわかる。よく滝行というものを各地でされるが、確かにこのような気の中ですれば浄化されるだろう。
滝小屋があり、滝壺の裏は大きく、くぼんでいる
もちろん人を神として祀っている場合もあるが、神道では、昔から神社の祭神は社殿ではなく、森であったり、岩や滝や、いわゆる森羅万象の気を有しているものを祀ってきた。
たくさんの滝を見てきたが、滝で、直接気を感じたのは初めてで、滝が気を有していることをすごく感じることができた。
山道が通じていて、割と近くに 清滝 という滝があるとのことだったが、この時はそちらへは寄っていない。