今年はウワミズザクラの実がすごく目立ち、どの木を見ても鈴生りになっている。
例年、このようにたくさんの実をつけてもこちらが気付いていないだけかとも思えるが、おそらくブナの実が数年おきにたくさん実るように、今年がその年に当たるのだろうと思う。
樹木の果実は毎年安定して同じ量だけ実らせていると、ことごとく哺乳類や野鳥などに食べ尽くされてしまうので、その種全体として不作の年や、平均的な年、そして動物が食べきれないほど豊作の年をもうけて、子孫を残す工夫をしている。会話をしているわけでもないだろうに、全体としてしっかりとした連携を保っている。
ウワミズザクラ(バラ科)
果実は熟すにつれて緑から黄色、橙、赤、そして最後に黒になる
小さい果実なのであまり気付かないが、この黒く熟した果実を割って見ると、白い種子が入っていて、この実を食べると、杏仁豆腐の香りがする
杏仁豆腐はもともとは中国の薬膳料理で、字の通り、杏(あんず)の種子(正確には仁)を粉にして作ったものだが、ウワミズザクラもアンズも同じバラ科の植物で性質が似ており、また、市販されている杏仁豆腐は同じくバラ科のアーモンドの種子が使われている。
今年のようにウワミズザクラの果実が鈴生りになっても、このような小さな種子から杏仁豆腐は作っておれないが、香りを楽しむことはできる
ウワミズザクラの花期(四月)
これでも桜の仲間にあたる(四月)