祇園祭の季節になってきたが、この時期、京都の町家では軒先や床の間に緋扇(檜扇と表してあることがあるが、檜扇はヒノキを薄く削いで作った扇子のこと)を飾る。緋色の扇…花の色と葉の形を見れば名前の由来はすぐにわかるが、海岸沿いや一部の草原に生育するらしく、野生の状態ではまだ見たことがない。一般には、いたるところにヒメヒオウギズイセン(アフリカ産のヒオウギズイセンとヒメトウショウブとの雑種)が咲いている。
ヒオウギ(アヤメ科)
ヒオウギの葉
扇の意味がわかる
ヒメヒオウギズイセン(アヤメ科)
これらの花を見ていて…
梅雨明け間近のこの時期には、緋色、もしくは朱色と表される花がたくさん咲くような気がする
フシグロセンノウ(ナデシコ科)
ヤブカンゾウ(ススキノキ科)
ノカンゾウ(ススキノキ科)
初夏から盛夏にかけてのこの時期、森や野原の緑はいっそう濃くなり、こういった色が昆虫に目立つようになるのか?とも思うが、わからない。
それと、朱色と緋色だが、朱色は、元は鉱物の顔料からとった色で、英語ではVermilion にあたり、いわゆる「青丹よし…」の丹、つまり神社などの柱の色かと思う。それに対して、緋色は植物のアカネ(茜)および一部はムラサキ(紫)からつくる鮮やかな明るい紅色とあり、英語のScarlet にあたるという。
上にあげた花のほとんどは朱にあたるように思うが、ヒオウギやノカンゾウの濃い部分が緋色なのかもしれない。