カキツバタは琵琶湖岸の内湖にもあり、各地で見かけるが、箱館山の平池(だいらいけ)は標高500mくらいの林間の池で、ここでは幾分薄暗い静寂な佇まいの中に薄紫の花が連なり、落ち着いた独特の雰囲気を醸し出している。カキツバタはやはりここがいいと思う。最近は多くの人に知られるようになり、また鹿の食害でかなり個体数が減少したが、池の中洲のような場所に生育しているために、池が堀の役目を果たし、ここだけは昔の姿をとどめている。
中央に赤く見えるのはレンゲツツジ
向こう岸に黄色く見えるのはサワオグルマ
いずれアヤメかカキツバタ・・・
開花時の外花被片(一番外側の花弁)を見れば判断できる。
アヤメ 外花被片に文目(模様、色合い)が現れる
カキツバタ 外花被片に白の条線が入る
ノハナショウブ 外花被片に黄の条線が入る
それゆえ、ハナショウブ(ノハナショウブを園芸化したもの)には必ず黄色の条線が残っている
なおショウブ(菖蒲)は五月(旧暦)に香りがいいために風呂に入れるが、ノハナショウブとは全く異なるサトイモ科(新体系ではショウブ科)の植物でアヤメ科のような花は咲かない。
白花のアヤメ(野生種)
平池畔のミズキ(ミズキ科)