5月の下旬になると、琵琶湖岸では一斉に初夏の花々が咲き出す。マツヨイグサは湖岸のいたるところで見られるが、今津浜にはかなりの規模の群生が現れ、湖岸一面が黄橙色になる。それと同時にハマヒルガオが岸辺を覆い、淡桃色の絨毯(じゅうたん)が色を添える。ここの群生はほとんどの人は知らないと思う。
大正12年の牧野富太郎の文章です。
『夕方にたくさん咲いた様は、あたかも月華の流るるがごとし…(中略)花が開
き、かつ香りを漂わせば(中略)蛾が得意げに花間を飛び回り駆け回り、出雲の
神様の役目をつとめ、一場所で何十組の結婚が行われ、これが毎晩続くのであ
る。おめでたいことである。そしてこの媒酌者へのお礼はあらかじめ備えられた
る花中の蜜だ。さあ、それからできることできること、その子(種子)がウヨウ
ヨと育ち、日ならずしてその家(果実)から生まれ出て地上へ散落する…」「明
治17、8年ごろには東京ではただわずかに品川辺の鉄道の土手に少々あったくら
いであったが、今は日本国中に広まり諸所で見受けるようになった…』
夜咲き植物…という言い方しかないのかと思うが、夕方に蛍光とも思える黄色に咲き出して翌朝に(昼頃までは咲いている)橙色になって萎む。それを一花づつ繰り返して上に登っていく。
同じ仲間にオオマツヨイグサ•アレチマツヨイグサ•メマツヨイグサ•コマツヨイグサなどがあるが、マツヨイグサとコマツヨイグサ以外はあまり花が橙色にならない。最近はヒルザキツキミソウやアカバナユウゲショウもよく見るようになった。
本来は海岸の砂浜に群生する海浜植物だが琵琶湖岸には分布する
他のヒルガオと異なり葉は腎円形
初夏の湖岸Ⅱに続く…